[第5回]中国との比較を通してシニア世代におけるキャッシュレス社会について考えよう〜シニア社会のキャッシュレス化〜

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これで5回にわたる連載も今日で最後となります。
これまで「キャッシュレス・電子決済」を良いものという前提を持って話を進めてまいりました。これまでの記事を読み進めてくださった方の中は、そもそもキャッシュレス社会になることは良いことなのかと疑問に思っていたかもしれません。
そこで最後となる今日は、筆者が考えるキャッシュレス社会の重要性からお話を進めて参りたいと思います。


これまでの記事を読む
1.[第1回]〜電子決済について〜
2.[第2回]〜中国のモバイル決済事情〜
3.[第3回]〜日本の電子決済事情〜
4.[第4回]〜日本と中国の比較〜







キャッシュレスの是非

日本社会の課題

日本社会の課題の代名詞といえば、少子高齢化。これから労働人口が急速に減少していくことが課題となっっています。これまで、日本が世界GDP3位を維持してきたのは、1億を超える人口に裏打ちされた皆さんの仕事の努力の結果です。しかし、1億人を下回る日も間近と言われております。経済大国としての地位を維持するためにも、一刻でも早い対策が叫ばれているのです。

課題解決策としてのキャッシュレス化

そもそも、国が豊かだということは何を持って言われるのでしょうか?一つにはGDP(国内総生産)がありますよね。国内総生産とは、一国が一定期間(通常は一年間)で生み出した付加価値の合計をさします。国の景気が良いと、生産活動が盛んになりその分だけ付加価値も増加して行きますよね。それでは、景気が良いとは一体どういうことでしょうか?それは、一般的にはお金が世の中を回る速度(通流速度)が速いことと言われます。つまり、お金の循環がよければ良いほど良いのです。
年をとるにつれて、老後資金の形成などから一般的にお金の消費はある時期をピークに減少して行くことが多くなっています。つまり、預金などで蓄蔵していくのです。今後、少子高齢化が進行して、この蓄蔵貨幣が増加していくと日本社会はどうなるでしょうか?これまでの話からも明らかなように、お金の循環が停滞し、景気がどんどん悪くなって行きます。「お金の循環」という問題が非常に深刻になっていくわけです。
日本の電子決済の問題を取り上げたときに、消費者が電子決済を使いたくない理由として、”お金の浪費”が1番目に上がっていたのを覚えていますでしょうか?確かに電子決済、特にモバイル決済が実現するキャッシュレス社会ではお金が現物で見えないことから、ある意味で「浪費」の傾向が強くなってしまうでしょう。しかし、今後の日本社会にはこの「浪費」が必要悪であると感じられるのです。市場に出回るお金の量を少しでも増やして、その循環スピードをあげる。これが将来の日本に求められることです。筆者がキャッシュレス社会を強く支持する理由はここにあるのです。


シニア社会の電子決済の重要性

さて、本題のシニア社会と電子決済(キャッシュレス社会)について考えましょう。
やはり貨幣を蓄蔵しているのはシニアの方々に多く、これは仕方がないことです。しかし、そうは言っても今後の日本社会を考えるとシニア社会にこそキャッシュレスが普及していくべきだと考えられます。シニアの方々が貯蓄しているお金を少しでも市場に回すことができれば、そのお金が市場を循環し、付加価値を持って自分の手元に戻ってくるでしょう。これはよく経済学で用いる考え方なのですが、自分が属する社会の経済を良くすることによって、そこから享受するサービス・補助のより高度な充実を享受できるというものです。キャッシュレス社会に貢献することは、社会の効率化や経済の改善に繋がり、それは国内経済の発展につながります。これはたとえ実感が湧かなくても、例えば医療費補助の拡充などの”制度”や”補助金”として帰ってくることになるのです。

最後に

シニア社会にキャッシュレスを普及させることは非常に多くのメリットを持つ一方で、多くの困難が立ちはだかっているのも現実です。その問題を解決するためには、中国の事例を参考にできると思われます。それは「電子決済を使わなければいけない必要性」を生み出すことです。例えば、日本政府は消費税増税に伴ったポイント還元サービスをキャッシュ以外の購入でのみ適応するとしました。これはキャッシュレスに向けていい動きだしだと感じられます。このように政府が主導となって、電子決済への需要を作り出していくことが必要となっていくでしょう。

(東京大学経済学部 大木涼太郎)

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